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阿波踊りにおける企業参加の効果

今回は、阿波踊り伝統とその縁取り~企業参加の効果~についてご紹介したいと思います。

当方が阿波踊りを横浜で始めた理由の一つに、社会的処方による「分断する社会、孤独・孤立」の解決があります。その有効な手段の一つが企業連であると考えており、以下にて紹介させて頂きます。


当記事は、お茶の水女子大学博士後期課程「中村まい」さんの多大なるご協力のおかげです。深く感謝申し上げます。中村さんの論文や活動内容はこちらになります。


活動背景

冒頭で申し上げた通り、現代社会には社会的分断に起因する下記のようなリスクがあります。また高齢者においては地域と付き合いのない方が20〜25%程度います。


出展:ニッセイ基礎研究所


その解決には、「誰にも参加できて」且つ「練習を通じて定期的に集まる」という阿波踊りの特徴が有効だと考え、活動を開始しております。

当方、以下でも紹介させて頂いております。


阿波踊りの歴史

阿波踊りをご存じない方もいらっしゃると思いますので、簡単に歴史を紹介致します。


諸説ありますが、発祥は全国の「盆踊り」と共通しています。約1,500年前に中国から伝来した盂蘭盆会(うらぼんえ)に起源しています。大きな影響を与えたのが一遍上人による「踊り念仏」、これが「踊り」が主体となる「念仏踊り」となり、江戸時代に「盆踊り」として定着します。


「阿波踊り」の史料として最も古い記録は1671(寛文11)年のお触書で、「例年の…」と表記があり、蜂須賀家政公入国以来、城下町の形成に伴なって発展してきたことが窺われます。これが阿波踊り400年の歴史と言われる由縁です。江戸後期の阿波踊りの様子を描いた絵巻物『徳嶋盂蘭盆組踊之図』(原田家所蔵)では、踊りだけではなく芝居などを組み合わせた大掛かりな出し物の様子が見て取れます。


現在に通じる阿波踊りの音色や踊り方は、ハイヤ節という黒潮文化の影響を受けています。これは当時徳島に藍の中央卸市場があり、諸文化が集まっていたためです。


阿波踊りと企業の沿革

江戸時代、徳島に藍の中央卸市場があり、全国から商人が藍玉の買い付けのために集まりました。これにより上方文化が持ち込まれ、徳島の藍商人らは浄瑠璃などのお座敷芸で買い付けに来た商人たちを接待しました。江戸・明治時代に盛んであった「俄」(軒先での寸劇)も上方からもたらされた文化の一つです。現在も企業は阿波踊りを接待に用いていますが、当時の藍商人も芸能を接待に用いていたという共通点があります。(昔は主として商人自身が芸を仕込んで披露→今はお客さんに参加してもらう)


明治以降、藍市場の低迷とともに阿波踊りも低迷しますが、商工会議所がもう一回盛り上げようと動きます。県外からの誘客のために運賃や宿の割引など地域一丸で観光化を進めました。踊り手を集める為、お酒飲み放題、お米券など、人が集まる施策を施します。


昭和の時代、戦後いち早く復活させようと、各拠点が自律運営、演舞の審査制度導入などで連を誘致します。これが阿波踊りの巨大化につながり、この際収集がつかなくなったことで、取り纏め団体としての協会が設立されます。


昭和後期、企業が阿波踊りの規模の拡大に大きく寄与します。福利厚生や社員サービス的な側面から1950年前後より大手企業の名前が出はじめて、県外企業からの参加も増えます。現在の有名連が出始めたのはこの頃です。

出展:中村まい


現在でも徳島阿波踊りに参加する連の約3割が企業連によって成り立っています。

出展:中村まい


企業のメリット

現在も多くの企業が企業連を継続させていることから、企業側にもメリットがあると考えています。中村さんよりお伺いし、当方にて以下のようにまとめてみました。


  • 関連企業、顧客、仕入れ先との新しい関係構築

  • 他世代、他部署、退職者、家族間の共同体意識の構築

  • OBの継続的な関わり維持(孤独・孤立の解決)

  • 地域の文化的・社会的活動を見える形で支援

  • 企業の広報、マーケティング効果


出展:中村まい


企業には、従来の接待に活用するという側面以外に、企業自体も社会課題を内包していることから、それらの解決に阿波踊りを活用している側面が見受けられます。


広報の視点では、看板等への直接出稿もありますが、企業連として参加はそれ以上の効果があると思います。当方にて具体的に徳島の企業にヒアリングしたところ、移動や場所の確保などで費用は4日間で300万円程とのことですが、費用対効果は看板等より高いのではないでしょうか。


担い手としての企業

阿波踊りの場合は、企業自体が「参加者(出演者)として機能」しています。これに対し、市民活動におけるNPOや民俗芸能における保存会等は「運営組織としての機能提供」かと思います。


私はこの点を重要視しています。参加者こそ重要な担い手であり、保存会があっても参加者がいなければ成り立たないケースがあると思っています。従い、企業を重要な担い手であると認識することが必要だと考えています。そして企業参加自体が社会課題の解決の有効な手段の一つであるということを申し伝えたいと思います。


※保存会には、純粋に担い手を増やすための普及活動をしているところもあれば、厳格に(地域や年齢・性別などで)担い手の範囲を決めてその踊りの継承を護っているところもあります。芸能の保存だけではなく、お祭りの運営にも関わっているところもあるかと思います。本来「踊り」と「祭り」は別々の機能があるので個別の論点があると思いますが、今回は担い手(参加者)としての企業の機能にフォーカスして記載しております。


企業に阿波踊りを推す理由

企業のメリットはご紹介しましたが、企業参加を促す際に、他の芸能やイベントと比較して何故阿波踊り?という疑問にお答えする必要があると思います。そこで、中村さんより他の芸能と比べた阿波踊りのメリットを伺い、以下の4点にまとめてみました。


  • 他の芸能と比べると練習体系が柔軟

  • 運営費用を抑えられることができる

  • 参加層が非常に幅広い

  • 阿波踊り体操という福祉活動に直結するコンテンツがある


※以下うす青色が阿波踊り

出展:中村まい


阿波踊り体操

福祉体操としての阿波踊り体操は、健康促進の為に徳島県が徳島大学 田中教授に依頼してできた体操です。

簡単に見える体操にも姿勢ごとに意味があり、その意味を知ることで普段の生活から姿勢を意識するなど効果があります。運動不足の解消、また高齢化社会において健康寿命を延ばすことにもつながり、体操の普及を進めています。


企業参加の風土育成にむけて

ご紹介の通り、企業の参加はとても重要だと考えています。

この度、参加ではないですが継続が期待できる団体との連携ということで、「6/11 楽しく健康に阿波踊り体操」という企画を、横浜市西区藤棚地区センターの自主事業として実施する運びになりました。内容は、阿波踊り対応の体験と、運動による「体」と「脳」への影響紹介です。

JAAS(日本科学振興協会)にもコンテンツ提供をご協力頂き、Webでの配信も予定されております。


まとめ

「阿波おどり」は誰でも参加できる親しみやすさが特徴です。そしてご紹介の通り、分断する社会、孤独・孤立の問題の社会的処方となります。企業が参加することで活動の継続性、また規模の拡大に大きく寄与することから、是非とも企業の参加を促進出来ればと考えています。


視察イベントのご紹介

企業の皆様、直近以下のイベントがございます。よろしければ是非ご参加検討お願いいたします。

お問い合わせ先

  • 電話番号 080-6779-4476(担当 越後)

  • E-mail :info@yokohama-awaodori.com

  • Instagramユーザーネーム:yokohama_awaodori

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